バフ研磨

バフ研磨とは

バフ研磨とは、布製またはその他の材料で作られた研磨輪(バフ)の周囲(表面)に種々の研磨剤などを付けて回転させて素材を研磨する方法のことです。
バフ研磨の対象は金属素材が中心で研磨をすることで、鏡面の光沢を出すことが出来ます。
バフ研磨の素材は弾性があり、様々な種類があるので目的の仕上がりに応じて使い分けします。

バフ研磨の特徴

ここでは、バフ研磨の特徴について説明していきます。バフ研磨の特徴は2つありますが、バフ研磨することで素材を鏡面にすること、均一にすること、汚れをとること、メッキ前後の磨きを目的としてます。 [1]

鏡面にすることができる

バフ研磨は他の研磨方法のように硬を使用せず弾性のある素材で磨き上げるため、表面をピカピカな光沢に仕上げることができます。バフの素材や研磨剤の種類を変えれば、様々な仕上がりも調整でき表面粗さもコントロールすることができます。

傷を除去できる

あまりにも深い傷の除去をすることはできませんが、擦り傷などの小さい傷などであれば除去することができます。メッキ前に傷を除去、メッキ後にバフ研磨する場合もあり光沢、滑り性を向上させる場合もあります。

  • バフ研磨
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バフ研磨のメリット

バフ研磨は砥石を使用した研磨と比較すると次のようなメリットがあります。

・滑らかに傷を除去することができる
小さな凹凸を減らして、滑らかにでき、金属表面についた傷を取り除くことができ光沢のある製品に仕上げることができます。
・表面に付着した汚れを除去することができる
加工物を削った時に出る粉、溶接ビート黒皮などの汚れを綺麗に除去することができます。
乱反射を防止することができる
バフ仕上げで金属表面を滑らかにし光が乱反射することを防止することができます。車のバンパーホイールなど日光が当たる金属製品の場合は光の乱反射により運転の妨げになります。
・製品としての精度を高めることができる
必要な寸法公差内に仕上げ、金属部同士の抵抗摩耗係数を軽減することができ製品の質を高めます。
・面粗さをコントロールできる
バフ仕上げを行うことで素材の面粗さをコントロールし、滑り性や耐摩耗性を向上させることが可能です。
・鏡面に仕上げることが可能
バフ研磨を行うことでピカピカな鏡面に仕上げることができ、製品への美感性を高めることができます。

バフ研磨のデメリット

バフ研磨には以下のようなデメリットがあります。

・仕上がりにばらつきが発生する
バフ研磨は手作業を行うため、作業者の熟練度で仕上がりにばらつきが生じてしまいます。
外観性や見た目を重視する場合には大きく変わることはありませんが、寸法精度の維持、均一性を要求する製品に対しては細心の注意が必要です。
・徹底的に汚れ除去を行わなければならない
バフ研磨時に研磨する金属や素材に研磨剤が固着し次工程のメッキ加工に支障がでるのでメッキ加工前の汚れ除去は徹底的に行う必要があります。

バフの種類

バフの種類には様々な種類があります。下記にて一部紹介します。

布バフ

タオル不織布などで作られている柔らかい素材のバフです。金属製品のサビ取り、メッキ前の下処理、鏡面仕上げなどで使われ、貴金属の仕上げなどでも使用されています。

ウールバフ

きめが細かく適度に厚みがあり、均一に製品を磨け表面を傷つけずソフトに仕上がるためツヤ出しに最適なバフです。

麻バフ

材質は主にサイザル麻を使用しており、主に粗い研磨に使用されるメッキ前の中間研磨に最適なバフです。

スポンジバフ

表面が柔らかいので、主に仕上げ用のバフです。

バフの番手

バフの番手とは、バフの目の荒さをを表す数字のことを指します。
目の荒さが小さいほど、仕上がり状態が綺麗になります。
番手は「#○○」「○○番」などで表記され、数字が小さいほど目の荒さが荒くなることを意味します。

一般的には、荒い目でバフ研磨を始め、最終的には800番以上で仕上げていきます。

バフの番手

研磨剤の種類

バフ研磨で使用する研磨剤には以下の種類があります。一般的には油脂材料を使用します。この材料には研磨成分が練りこまれて棒状に加工されているため、回転するバフの表面に塗りつけて使用します。
削る力が強いのは、青棒<白棒<赤棒の順番になります。

研磨剤の種類

赤棒

シリカが研磨剤の主成分のものが一般的で、酸化ケイ素を主成分にするトリポリの名称で市場に出回っています。粗磨きから中仕上げに適しています。

白棒

アルミナ(酸化アルミニウム)が研磨剤の主成分です。研磨力は青棒よりも強く、粒度(番手)もメーカーによって豊富なものが用意されています。中仕上げから仕上げに適しています。

青棒

酸化クロムが研磨剤の主成分で研磨力(削る力)は三種類の中で最も低いですが、仕上げに適しており、ステンレス等の鏡面仕上げ、メッキ加工後の仕上げに使用されてます。

[2]

バフ研磨ができる素材

、ステンレス、真鍮アルミニウムなどの金属

バフ研磨の工程

バフ研磨の工程は以下のようになります。

油分除去→粗バフ→中間バフ→バフ仕上げ→鏡面仕上げ

バフ研磨の用途

自動車部品やホイール、バイク部品などのライト部分に使用されてます。

バフ研磨の事例

  • 自動車部品
    事例1 素材:SUS304
    自動車部品にバフ研磨で滑り性を付与
  • バイク部品
    事例2 素材:S45C
    バイク部品に鏡面をつけた

バフ研磨に関連する英語表記

バフ研磨 buffing

バフ研磨まとめ

「メッキ」と「バフ研磨」は、一見まったく別物のように思われがちですが、実際には、両者は密接な関係にあります。光沢のあるメッキにするための素地研磨、滑り性の向上、メッキ前の素地調整、機械加工時の細かなキズやバリの除去、メッキ工程中の中間バフ研磨加工処理、メッキ後の寸法出し、面粗さのコントロール、仕上げ研磨をはじめとして、バフ研磨加工処理によって実現が可能な事項は数多くあります。高品質な機能メッキ製品を生み出す為には絶対に欠かせない工程がバフ研磨加工処理です。

この記事の解説者

代表取締役社長 清水栄次

三和メッキ工業株式会社
代表取締役社長 清水栄次

全国めっき技術コンクールにおいて厚生労働大臣賞、金賞など数多く受賞。めっき業界において始めてIS09001,14001,27001を独自で構築。その中から、めっき特許、並びに独自の技術を商標化。インターネットにて380001以上の取引実績。
めっきセカンドオピニオンによる他社のめっき不良を年間100件解決。

  • 2014年 神戸大学大学院経営学研究科 非常勤講師
  • 2020年 三重大学 非常勤講師

脚注

  • [1]工業図書:めっき実用便覧
  • [2]加瀬敬年:最新めっき技術

バフ研磨に関するめっきQ&A

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