アルマイトは熱に弱いのか?
アルマイト(陽極酸化皮膜)は、アルミニウムの表面に人工的に
酸化皮膜を生成させる処理ですが、熱に対しては比較的弱いと言え
ます。
特に、一般的なアルマイト処理では、以下の点に注意が必要です。
1. 熱膨張によるクラック(ひび割れ)
これがアルマイトが熱に弱いとされる最大の理由です。
・メカニズム:アルマイト皮膜(酸化アルミニウム)とアルミニウム
素地では、熱膨張係数が異なります。アルミニウムはアルマイト皮膜
よりも熱膨張係数が大きいため、温度が上昇するとアルミニウム素地が
より大きく膨張しようとします。しかし、脆いアルマイト皮膜はこの
膨張に追従できず、応力がかかってひび割れ(クラック)が発生して
しまいます。
・耐熱温度の目安:一般的なアルマイト皮膜では、約100℃程度で
クラックが発生し始めるとされています。
・影響:クラックが発生すると、皮膜の耐食性や耐摩耗性が低下し、見た
目も損なわれる可能性があります。
2. カラーアルマイトの退色
着色されたアルマイトの場合、熱によって色が変化したり、薄くなったり
(退色)する現象が起こります。
・メカニズム:カラーアルマイトは、染料(有機染料が一般的)を酸化皮膜
の微細な孔に吸着させて着色しています。高温にさらされると、この染料
の分子構造が破壊され、退色が進みます。
・影響:製品の外観品質が損なわれます。
3. 熱伝導率の変化
アルミニウム自体は熱伝導率が高い金属ですが、アルマイト皮膜は熱伝導率
が低い(アルミニウムの約1/10程度)絶縁体です。
そのため、アルマイト処理を施すと、製品全体の熱伝導性は低下します。
・放熱性:しかし、アルマイト皮膜は遠赤外線などの放射性が高く、放熱性
は高いという特徴があります。そのため、ヒートシンクなどの放熱部品
にも利用されます。
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