アルマイトとは、アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を作る方法です。 アルミニウムは、酸素と結合しやすく、空気に触れていると非常に薄い酸化皮膜を生成します。 この自然に作られる皮膜で保護されているので、耐食性が良いと言われてます。
しかし、その皮膜は非常に薄いので、環境によっては、化学反応によって腐食いたします。 その為に、アルミニウム表面を保護する皮膜が必要となり、アルマイトを行います。
アルマイト皮膜の微細孔に染料を吸着させる事で様々な色に着色することが可能です。 これを黒アルマイトなどと言います。
【耐食性】
アルミニウムは、イオン化傾向の高い金属であり、水や酸素をはじめ、様々な化学
物質と容易に反応します。これにより、腐食や変色を引き起こしやすいという欠点があります。
アルマイト加工処理を施す事で化学的に安定する耐食性が向上します。
アルマイト皮膜は、アルカリ性に弱いのでその環境下では使用する事が出来ません。
【絶縁性】
アルミニウムは金属であるが、アルマイトによって表面に形成された酸化皮膜は電流を通さず、優れた絶縁性皮膜となります。
【皮膜熱伝導率】
アルマイトの表面に酸化皮膜があるため、何も処理をしていない、アルミニウムと比較して、熱伝導率は、3分の1と低くなります。また、遠赤外線の放射率も高くなります。
【硬度】
アルミニウムの硬さは、Hv20〜150(合金によって異なる)であるのに対して、アルマイトを施した場合には、HV200以上程度まで上昇します。
【脆い】
アルマイト皮膜は柔軟性がありませんのでアルマイト後の部材を曲げ加工したりしますと皮膜が割れたり、剥がれたりします。
【耐熱性】
通常のアルマイトは、100℃を超える環境下では、素材の熱膨張率によりクラックや剥がれが発生します。
【美観性】
アルマイト皮膜の微細孔に染料を吸着させる事で様々な色に着色することが可能です。
これを着色アルマイト加工処理といいます。
陽極酸化処理
アルマイトの構造
アルマイトの拡大画像
アルマイトのカラー
A1000~7000、アルミ合金などに処理が可能です。アルミ合金に関しましては一部処理できない材料がございますので、事前の打合せが必要です。
弊社にて行うアルマイト加工処理は、硫酸法という一般的な手法です。
下記の表にて基本的な特性を掲載します。
(1)白アルマイト加工処理
膜 厚 | 6~10µ |
---|---|
色 | アルミ素材の色 |
使用目的 | 防錆・寸法精度要求 |
(2)着色アルマイト加工処理
膜 厚 | 15~30µ(黒色は最低30µ必要) |
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色 | 全色可能(一般的には黒) |
使用目的 | カラーリング |
通常のめっきの場合には、製品の上に異種金属の膜が重なりめっき層を形成しています。しかし、アルマイト加工処理は、めっき中にアルミ素地自体がめっき浴中に溶解し、酸化された2倍のアルマイト層が析出します。
よって付与しためっき厚の約1/2がアルミ素地に増加することを考慮して、機械加工を仕上る必要があります。
電解液(アルマイト液)の種類やアルミニウム合金の種類によって、陽極酸化処理時に皮膜自体が自然に発色する皮膜を「自然発色皮膜」と呼びます。
生成した皮膜(アルマイト)は他の方法で得られる皮膜と比較して、その透明度がよいので多くのアルミニウム合金に適しています。
また、化学研磨、電解研磨などの光輝仕上げ後の陽極酸化皮膜として最適ですが、マンガン、ケイ素などを多く含む合金では灰色から灰黒色となり、マグネシウムを多く含む合金では、淡黄色から黄金色になります。
皮膜の熱伝導率は66.98w/h/m/K(0.16cal/cm.sec.deg)程度であり、市販の純アルミニウム材の約1/3と低く、これを利用してピストン、シリンダなどの製品に遮熱用として100µm以上の硬質皮膜を処理することがあります。
4.5×10‾6/deg
酸化アルミニウムは両性金属酸化物で、強酸やアルカリと化学的に反応するが、中性付近では安定である。
従って陽極酸化皮膜は中性付近では良好な耐食性を示し、アルミニウムを腐食環境から保護する。
下記の表に種々の化学薬品や食料品、飲料などに対する代表的な陽極酸化皮膜の耐食性を示す。
対象 | 評価 | 対象 | 評価 | 対象 | 評価 |
---|---|---|---|---|---|
水 | A | ソース | C | グリセリン | A |
井戸水 | A | バター | A | 青酸 | A |
水道水 | A | 牛乳 | A | 窒素 | A |
海水 | A | 昇こう水 | F | 酸素 | A |
酢 | A | アセトアルデヒド | A | フタノール酸 | A |
梅酸 | C | アセトン | A | ピクリン酸 | A |
酢酸 | A | 無水アンモニア | A | ゴム | A |
塩酸 | F | アンモニア水 | A | ステアリン酸 | A |
硝酸 | B | 酢酸アミル | B | 肝油 | A |
硫酸 | B | ミルアルコール | B | 食用油類 | A |
水酸化ナトリウム | F | ベンゼン | F | 鉱油類 | A |
日本酒 | A | ベンゾルアルコール | A | 天然ガス | A |
ビール | A | 酪酸 | A | 血液 | A |
ウイスキー | A | 二酸化炭素 | A | 石鹸 | A |
ぶどう酒 | B | 一酸化炭素 | B | 粉石鹸 | B |
醤油 | C | ホルマリン | C | ソープレスソープ | A |
A | 使用して差し支えない | B | 試験して、その結果により使用の可否を判断する |
---|---|---|---|
C | 皿のように洗って使用すれば可 | D | 腐食を覚悟の上で使用する必要あり |
E | 相当に侵食される | F | 使用に耐えず |
このように陽極酸化皮膜の耐食性は優れていますが、使用される環境によって、その防食効果は異なりますのでその環境における腐食因子を十分考慮に入れ皮膜の種類、皮膜厚さなどを適切に選ぶ必要があります。
建材など大気中で使用される場合の腐食因子としては次のような項目があげられます。
建材など大気中で使用される場合の腐食因子としては次のような項目があげられます。
アルマイト(アルミの陽極酸化皮膜)皮膜に弊社の技術力でこのような付加価値を加える事ができます。
例:着色アルマイトで削れても簡単に色が取れないようにしたいなどの案件も、⇒弊社のタフカラー30(特許技術)で解決した実績があります。
※詳細につきましては、弊社までお問い合わせください。
また、上記以外の付加価値を加えたい場合でも、ご提案できる可能性がありますのでお問い合わせください。