めっきQ&A
硬質クロムめっき処理に関するお問合せ
スズめっきされた銅製の端子にプラスチックを
オーバーモールドする(被せる)金型を製作しています。
以前行ったときは、金型の表面にスズめっきがうろこ状に
くっついて、剥がれてしまい失敗してしまいました。
同僚が端子のメタルと接触する金型の部位に硬質クロムめっきを
することを推奨してくれました。
そこで二つほど質問があります。
硬質クロムはこのようなケースに有効でしょうか?
また硬質クロムめっきの密着性改善にはベースメタルは
どのような状態にしたら良いでしょうか?
ご教示の程、よろしくお願い致します。
金型の摺動部側に硬質クロムめっきを施すのは一般的な事です。
その際、硬質クロムの表面は薄くて硬いクラックフリーの
状態が最良です。
このことをシンデンス(「thin dense」、薄くて密度のある)
ハードクロムと言います。
硬質クロムめっきは素材の表面状態がそのまま写し出される
ので、ベースメタルの表面はよく磨き、滑らかにすることが必須です。
硬質クロムめっきの表面は、摩擦係数が低く離型性も優れているため、
耐摩耗性が高く耐久性があります。コーティングの性能と寿命は、
使用頻度、モールドの上昇温度、点検頻度、洗浄とメンテナンスで
決まります。
金型のクロムコーティングは5〜20μm程度で滑らかな表面と
良い密着が要求されます。
そのために特別なアノードや吊治具が必要になることがあり
多少割高になることがあります。
他の選択技として無電解ニッケルめっきもあり、硬質クロムに比べて
若干安価な場合が多いです。