硬質クロムめっき処理とは、電気めっきの中では、最も硬い皮膜をつける事が出来る処理です。
硬さは、膜厚が25μm厚以上でHV800〜1000で、JIS(H8615)では、20μmのビッカース硬度がHv750以上になっております。
高硬度、潤滑性、肉盛性、耐摩耗性、耐熱性があるめっき処理です。しかし用途によっては、当事者間の協定によっても問題ないとされてます。
めっき処理
潤滑性においては、保油性・低摩擦係数が優れてます。これは、摩擦素材と凝着しにくい摩耗性係数が低い為です。
弊社の場合、肉盛性に置いては、100〜1000μm厚以上の皮膜を付与する事が可能です。
クロム金属(0価クロム金属)がめっき処理にて析出するので、750℃程度までは問題なく使用することが出来るのも特徴であり、RoH指令にも抵触しません。
また、めっき前後にバフ研磨やナシジ処理をする事により、鏡面・面粗さをコントロールすることも可能です。
硬 度 | Hv800〜1000(20μm厚以上) |
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潤滑性 | 保油性・低摩擦係数が優れている。 |
肉盛性 | 寸法修正・修理を目的としている場合、厚い膜厚を付与する事が出来ます。 |
耐摩耗性 | 摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れてます。耐摩耗の目的で、摺動する面にめっき処理をする場合、注意すべき点として「かじり現象」です。 クロムめっきとクロムめっきを摺動させた場合、両者とも硬い皮膜ですから摩耗は非常に少なくよに思われがちですが、実際には「かじり現象」を起こして両者とも急速に摩耗してしまいます。 このようにクロム皮膜と摩耗して「かじり現象」を引き起こしやすいものに、砲金・黄銅等も含まれます。 |
耐熱性 | 200℃より400℃までは、徐々に皮膜硬度が減少し、500〜550℃付近で急激に減少します。さらに600〜700℃に加熱すると、硬度は、Hv400近くに低下し、通常のクロムの硬さに等しくなります。以後さらに温度を上げても、硬さの変化は極めて徐々に下がる傾向です。 |
水素除去 | 硬質クロムめっき処理は、めっき処理中に、めっき表面に多量の水素を発生し、その為にクロムめっき層の中には、多量の水素ガスが含まれてます。(水素吸蔵) めっき層中に含まれた水素量は、めっき浴・めっき条件によって大きく異なりますが、脱水素処理は、200℃前後にて3時間程度加熱処理(べーキング処理)で十分な事が多いです。めっき膜厚が非常に厚かったり、めっき浴の温度が低い場合には、水素吸蔵量の多いので、加熱処理を長くする必要になります。加熱処理によってクロムめっき層に顕微鏡で確認出来るクラックが発生しますが、特殊な場合以外は、特に欠陥とはなりません。 |
硬質クロムめっき加工処理は、複雑な形状に対して均一の厚みでメッキをする事が困難で、寸法精度を維持する事が難しい皮膜ですが、弊社の技術力でこのような付加価値を加える事ができます。
例:鋼板製筐体の寸法誤差をメッキで調整したいなどの案件も⇒最大2000ミクロン(=2.00mm)のメッキ皮膜で寸法調整 などの実績もございます。
※詳細につきましては、弊社までお問い合わせください。
また、上記以外の付加価値を加えたい場合でも、ご提案できる可能性がございますのでお問い合わせください。
硬質クロムの皮膜特性 | ||
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組 成 | Cr | 99.8% |
密 度 | 6.9~7.2g/cm3 | |
融 点 | 1880~1900ºC | |
密着性 (鉄素材に対して) |
50,000~70,000psi |
金属クロムの特性の特性 | |
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融 点 | 1800~1950ºC |
沸 点 | 2482ºC |
電気抵抗率 | 125nΩ・mat20ºC |
熱膨張係数 | 6.2×10-6deg-1 20ºC |
熱伝導率 | 93.7W/(m・K)at27ºC |
この記事の解説者
清水栄次
三和メッキ工業株式会社 代表取締役社長 清水栄次
全国鍍金コンクールにおいて厚生労働大臣賞、金賞など数多く受賞。めっき業界において始めてIS09001,14001,2700を独自で構築。その中から、めっき特許、並びに独自の技術を商標化。インターネットにて380001以上の取引実績。
めっきセカンドオピニオンによる他社のめっき不良を年間100件解決。