FAQ
アルマイト(陽極酸化皮膜)が剥がれる原因は、本来密着性の高い皮膜で
あるにもかかわらず、処理不良・使用環境・外力などの影響で劣化・破壊
されることが主な要因です。
1.処理不良による密着不良
脱脂不足・表面の油分残り:
油膜が残っていると、酸化皮膜がうまく生成されず、膜が浮きやすくなる
エッチングムラやスマット残り:
表面に不純物が残っていると、皮膜の密着性が不均一になる
封孔処理不良:封孔されていない、またはムラがあると、皮膜内部に湿気や
腐食成分が侵入し、剥離につながる
染色処理後の乾燥不足:
着色処理後、封孔前に乾燥しすぎると色落ちや剥がれの原因に
2.使用環境によるもの
酸・アルカリの接触:
アルマイト皮膜はpH2以下またはpH11以上で溶解・剥離することがある
塩分・湿度(沿岸地域など):
腐食性環境では皮膜の下に腐食生成物が発生し、膨れ・浮き・剥がれの
原因になる
紫外線の長期曝露:
着色アルマイトの場合、紫外線で劣化・退色→粉化→剥離に至ることもある
3.物理的ダメージ・応力
衝撃・摩耗:
酸化皮膜は硬くて脆い(セラミック質)ため、打撃や摩擦で割れ・剥がれが
起こる
熱衝撃・急冷加熱:
アルミ素地と酸化皮膜の膨張係数の差で、微細な割れや剥がれが発生することが
ある
もらい錆の膨張応力:
他の金属(例:鉄粉)のサビによって内部膨張が起こり、皮膜が押し上げられる