メッキQ&A
アルマイト加工には多くのメリットがありますが、以下の
ような弱点・デメリットも存在します。
1.耐衝撃性
アルマイト皮膜はセラミック状で硬い反面、衝撃や曲げに弱く、
割れたり剥がれたりする可能性があります。特に硬質アルマイト処理
では顕著です。
2.耐摩耗性
非常に硬いものとの繰り返し摩擦や、鋭利なものによる引っ掻きには
弱く、皮膜が削れたり傷ついたりすることがあります。
一度皮膜が損傷すると、その部分から素地のアルミニウムが露出し、
腐食(錆び)が発生するリスクが高まります。
3.熱伝導性の低下
アルミ本体は熱伝導率が高いですが、アルマイト皮膜は熱を通しにくい
ため、放熱性が下がる場合があります。
4.化学薬品の耐性
強酸や強アルカリ(苛性ソーダなど)には溶解してしまいます。
5.導電性の低下
アルマイト皮膜は電気を通さないため、電気的接続が必要な部分
には不向きです(※部分マスキング等で対応可能)。
6.耐熱性の低さ
通常のアルマイト皮膜は100℃以上の高温環境下で、母材のアルミ
ニウムの熱膨張によりクラックや剥離が発生する可能性があります。
7.皮膜均一形成が難しい
アルマイト皮膜は非均一な厚さや組成を持つ場合があります。凹凸の
ある表面や複雑な形状を持つ部品では、酸化皮膜の厚さや品質の均一性を
保つことが難しい場合があります。
8.追加工が難しい
アルマイト加工後の表面は酸化皮膜で覆われており、その上に塗装やプリ
ントなどの追加処理を施すことは困難です。
酸化皮膜の密着性が高いため、追加工する際には酸化皮膜の剥離や傷の
発生に注意する必要があります。