FAQ
硬質アルマイトの耐熱温度は、一般的なアルマイトよりも優れて
いますが、それでもアルミニウム素地の特性や皮膜のひずみに
よって制限があります。
一般的な硬質アルマイトの場合、以下の点が目安となります。
・クラック発生の目安:約100~130℃
アルマイト皮膜は非常に硬く脆いため、アルミニウム素地との
熱膨張係数の違いにより、この温度を超えると皮膜に微細な
クラック(ひび割れ)が発生し始めます。
クラックが発生すると、耐食性や耐摩耗性が低下する可能性が
あります。
・素地の変形・皮膜の剥離の目安:約300~350℃
アルミニウム素地自体の軟化や変形(ひずみ)が始まる温度です。
アルミニウムがひずむと、それに追従できない硬いアルマイト皮膜
は大きく剥離したり、損傷したりする可能性が高まります。
アルミニウムの融点は約660℃ですが、そのはるか手前で素地の変形
が始まります。
・なぜ熱に弱いとされるのか?
アルマイト皮膜(酸化アルミニウム)は、アルミニウム素地よりも熱膨
張係数が小さい(約1/5程度)ため、温度が上昇すると素地がより大きく
膨張しようとします。
しかし、硬く脆いアルマイト皮膜はこの膨張に追従できず、応力によって
クラックが発生してしまうのが主な原因です。