FAQ
アルミニウムの表面を着色する処理の一種で、電気(電解)を
利用して色を付ける方法を指します。
これは、通常のアルマイト処理によって形成されたアルミニウム
の酸化皮膜(アルマイト皮膜)の特性を応用した技術です。
●原理とプロセス
・一次アルマイト処理:
アルミニウムを電解液中で電気分解し、表面に無数の微細な孔を持つ
多孔質の酸化皮膜を生成します。
この皮膜は、スポンジのような構造をしています。
・二次電解着色:
一次アルマイト処理を終えたアルミニウムを、今度はスズ、ニッケル、
コバルトなどの金属イオンを含む着色用の電解液に浸し、再び電流を
流します。
電流によって、着色液中の金属イオンが皮膜の微細孔の底に引き寄せ
られ、そこで金属粒子として析出(堆積)します。
これらの金属粒子が、光の干渉現象を引き起こすことで、人間の目には
色として認識されます。
析出する金属の種類や量(電流条件、時間など)によって、発現する色
が決まります。
・封孔処理:
着色後、皮膜の微細孔を密閉する封孔処理を行うことで、耐食性や耐汚
染性をさらに向上させます。
●電解着色の特徴
・優れた耐候性:
発色源が安定した金属粒子であるため、紫外線などによる退色や変色が
非常に起こりにくいです。
屋外で使用される製品(建築物のサッシ、ドア、外壁材など)に最適
です。
・安定した色調:
色ムラが少なく、均一で安定した色が得られます。
・金属的な質感:
光の干渉による発色のため、深みのあるメタリックな質感を表現
できます。
・多様な色調:
ステンカラー(シルバーグレー)、シャンパンゴールド、ブロンズ、ブラック
などが代表的な色ですが、条件によって幅広い色を出すことができます。
●電解着色のメリット・デメリット
メリット
・非常に高い耐候性・耐光性:
紫外線による退色や変色に強く、屋外での長期使用に適しています。
・耐食性の向上:
アルマイト皮膜そのものの耐食性に加えて、金属粒子の保護効果も期待できます。
・耐摩耗性・硬度の維持:
アルマイト皮膜の特性が損なわれず、高い硬度や耐摩耗性を維持します。
・高級感のある仕上がり:
金属的な光沢と深みのある色合いが、製品に高級感を与えます。
・色ムラの少なさ:
均一な発色が得られやすいです。
デメリット:
・色の選択肢の制限:
染料着色に比べて、発色できる色の種類が少ない傾向があります。
(特に鮮やかな赤や青などは難しい)
・コスト:
染料着色と比較して、処理工程が複雑になる場合があり、コストが高くなる
ことがあります。
・熱に弱い可能性:
アルマイト皮膜自体が、100℃を超えるような高温環境では、母材である
アルミニウムの熱膨張によりひび割れや剥がれが生じる可能性があります。