FAQ
クロムメッキと硬質クロムメッキは、どちらもクロムを電気メッキに
よって析出させる表面処理ですが、その目的と特性が大きく異なります。
一般的にクロムメッキと呼ばれるものは装飾クロムメッキを指すことが
多いです。
●装飾クロムメッキ
・美観が最優先:
高級感のある美しい外観を出すことが目的です。
・下地処理が重要:
クロムメッキは非常に薄いため、下地の状態がそのまま外観に反映されます。
そのため、ニッケルメッキを施してから、その上にごく薄いクロムをメッキ
することで、美しい光沢を出します。
・耐食性の向上:
薄いクロムの皮膜には微細なクラック(ひび割れ)があるため、その下の
ニッケルメッキが腐食を防ぐ役割を担います。
●硬質クロムメッキ
・機能性が最優先:
高い硬度と耐摩耗性、低摩擦係数といった機能が求められる工業用途で
使われます。
・厚い皮膜:
装飾用とは異なり、数μmから数百μmといった厚い皮膜を形成すること
ができます。
これにより、下地素材の硬さに影響されず、クロム本来の硬度を発揮させる
ことが可能です。
・寸法再生:
摩耗した部品に厚くメッキを施すことで、元の寸法に戻す「肉盛り」や
「寸法再生」ができるのも大きな特徴です。
・下地処理:
多くの場合、下地メッキなしで直接素材にメッキを施します。