めっきQ&A

FAQ

硬質クロムメッキの耐摩耗性は?

硬質クロムメッキの耐摩耗性は、その最大の特長の一つであり、
非常に優れています。
その理由は、主に以下の3つの要素に起因します。

1. 圧倒的な高硬度
硬質クロムメッキのビッカース硬さ(Hv)は、一般的に800〜1000
に達します。
これは、一般的な鉄鋼材(Hv200〜300程度)と比較しても圧倒的に
高い硬さです。
この高硬度のおかげで、外部からの傷や摩耗に非常に強く、部品の
表面が削られにくくなります。

2. 低い摩擦係数
硬質クロムメッキは、他の多くの金属やメッキと比べて、摩擦係数が
低いという特性を持っています。
摩擦係数が低いと、部品同士が擦れ合う際の抵抗が小さくなり、摩耗の
進行を抑えることができます。
この特性から、硬質クロムメッキは、ピストンロッドや油圧シリンダー、
各種ロールなど、互いに接触しながら動く摺動部品に広く利用されています。

3. 厚いメッキ層
硬質クロムメッキは、装飾クロムメッキのように薄い膜ではなく、数十μm
から数百μmといった厚い膜を形成することができます。
この厚いメッキ層があるため、下地の素材が柔らかい場合でも、クロム
メッキの硬度を十分に発揮でき、摩耗に対して高い耐性を持つことがで
きます。

注意点:かじり現象
硬質クロムメッキは非常に硬く、耐摩耗性に優れていますが、一つ注意
すべき点があります。
それは、硬質クロムメッキ同士が摺動すると、かじり現象(凝着摩耗)が
発生し、摩耗を早める可能性があるということです。
このため、摺動する相手材を選ぶ際には、相手材の硬さや潤滑状態などを
考慮する必要があります。
一般的には、硬質クロムメッキを施した部品を、それよりも柔らかい素材と
組み合わせて使用することが多いです。

硬質クロムメッキは、高硬度、低摩擦係数、厚いめっき層という三つの特性
により、極めて優れた耐摩耗性を発揮します。
この機能性から、機械部品の寿命を延ばし、製品の性能を維持するために
不可欠な表面処理として、多岐にわたる工業分野で活用されています。

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