FAQ
クロムメッキは非常に安定した金属であり、基本的に大気中で
変色することはほとんどありません。
その青みがかった美しい光沢は、酸化しにくいクロムの性質に
よるものです。
しかし、それでも変色や錆びが見られる場合、いくつかの原因が
考えられます。
1. 下地金属の腐食による変色
これが最も一般的な原因です。
クロムメッキは非常に硬く、大気中での安定性が高い一方で、
マイクロクラックと呼ばれる目に見えない微細なひび割れが必ず
存在します。
このマイクロクラックは、クロムメッキの特性であり、硬質クロム
メッキでは特に顕著です。
・マイクロクラックを通じて腐食因子が侵入:
このマイクロクラックが、メッキ皮膜の中を下地まで貫通している
ことがあります。
・湿気、水分、塩分、化学物質などがこのクラックから侵入し、下地
にあるニッケルメッキや、さらにその下の鉄などの素材に到達します。
・下地金属が腐食すると、その生成物がクラックを伝って表面に染み
出してきます。
この腐食生成物が、白い粉状のサビ(白サビ)や、赤っぽいサビ(赤サビ)
として現れ、あたかもクロムメッキ自体が変色したように見えます。
2. 汚れや付着物の影響
・水垢や化学物質の付着:
水道水に含まれるミネラル分や、洗剤、塩素系の成分などが表面に付着し、
そのまま放置されると、シミや水垢として白く曇ったように見えることが
あります。
また、汗に含まれる塩分や、酸性の物質が付着したままになると、クロム
皮膜の保護膜(不動態皮膜)が破壊され、変色や腐食を引き起こすことが
あります。
3. 高温による変色
・熱による酸化:
クロムメッキは高温に比較的強いですが、非常に高い温度(目安として
400℃以上)に長時間晒されると、表面が酸化して変色することがあります。
ただし、これは一般的な使用環境ではあまり起こりません。
4. 膜厚の薄さ
クロムメッキの膜厚が薄すぎると、下地を保護する能力が不十分になり、
マイクロクラックが下地まで到達する可能性が高まります。