めっきQ&A

FAQ

クロムメッキを加熱するとどうなるか?

クロムメッキされた製品を加熱すると、いくつかの変化が
起こります。
その影響は、主に温度と加熱時間、そしてメッキの種類(装飾か
硬質か)によって異なります。

1. 変色(色調の変化)
クロムメッキ皮膜は、比較的高い耐熱性を持っていますが、一定
以上の温度に達すると変色が始まります。
・約350℃:この付近から、クロムメッキの表面が黄色っぽく変色し
 始めます。
・高温での変色:温度がさらに上がると、変色はより顕著になり、
 青みがかった銀色から、黄色、茶色、さらには黒っぽく変化する
 ことがあります。これは、熱によるクロムの酸化が原因です。

2. 硬度の低下
クロムメッキの大きな特徴である硬度は、高温に晒されると低下します。
特に硬質クロムメッキの場合、この点が重要になります。
・400℃まで:この温度までは、硬度は徐々に低下しますが、まだ比較的
 高い硬度を保ちます。
・600℃以上:この温度を超えると、硬度の低下が急激に進み、元の半分
 程度の硬さになることもあります。
・不可逆的な変化:一度低下した硬度は、温度が下がっても元の硬さに
 戻ることはありません。高温下での使用が想定される部品では、この
 点に注意が必要です。

3. めっきの剥離や膨れ
クロムメッキは、単体では非常に高い融点(約1905℃)を持ち、高温にも
耐えられます。
しかし、製品として加熱された際に問題となるのは、下地素材との密着性
です。
・熱膨張率の違い:メッキ層と下地素材(鉄、銅など)は、それぞれ異な
 る熱膨張率を持っています。加熱により両者の膨張率に大きな差が生じ
 ると、メッキ層に強い応力がかかります。
・剥離の原因:この応力に耐えきれなくなると、メッキ層が下地から剥が
 れたり、膨れたりすることがあります。特に、メッキの密着性が元々不
 十分だったり、下地素材に巣穴などの欠陥があったりすると、剥離が
 起こりやすくなります。

4. 水素脆性からの回復
クロムメッキは、メッキプロセス中に大量の水素ガスが発生し、その一部
が金属素材の内部に侵入することがあります。
これにより、金属がもろくなる水素脆性という現象が起こる可能性があります。
・加熱による回復:メッキ後、一定の温度(通常は150℃~250℃)で加熱
 することで、金属内部の水素を外部に放出させ、脆性を回復させる目的で
 「ベーキング処理」という熱処理が行われることがあります。

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