FAQ
A7075アルミニウム合金にアルマイト処理を施した場合に
色違いや色ムラが発生する主な原因は、素材自体の特性と
処理条件の難しさにあります。
A7075は「超々ジュラルミン」として知られ、非常に高い
強度を持つ一方、アルマイト処理においては扱いにくい素材
です。
以下に、色違いが発生する主な理由を解説します。
1. 素材の成分と不均一性
・主成分の亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg):
A7075は、亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)を主添加元素として
います。
これらの元素はアルマイト皮膜の生成に影響を与え、特に無着色
アルマイトの場合、皮膜が褐色がかった色合いになります。
・成分の不均一性(偏析):
A7075は合金成分の偏析(成分が均一に分布しないこと)が起こ
りやすい素材です。
この偏析は、アルマイト処理中に皮膜の成長速度や性質に局所的
な差を生じさせ、結果として色ムラとして現れます。
同じロットの製品でも、成分のばらつきや微細な組織の違いが
原因で色違いが発生することがあります。
2. アルマイト処理の難しさ
・電解条件のシビアさ:
A7075は、アルマイト処理の電解条件(電流密度、電解液の温度・
濃度、時間など)が非常にシビアです。
わずかな条件の変動が、皮膜の品質や色調に大きな影響を与えます。
特に、電流密度が低すぎたり高すぎたりすると、均一な皮膜が形成
されず、色ムラやムラが発生しやすくなります。
・膜厚と色調の変化:
A7075のアルマイト皮膜は、膜厚が厚くなるにつれて色調が変化する
傾向があります。
硬質アルマイトの場合、膜厚が薄い時は素地色に近いですが、厚みが
増すにつれて褐色や濃い褐色がかった色に変化します。
したがって、同じ製品でも膜厚にわずかな差があるだけで、色の見え
方が変わってしまうことがあります。
・前処理の重要性:
アルマイト処理の前の脱脂やエッチングが不十分だと、表面の汚れ
や酸化物が残り、皮膜の生成を阻害します。
特に、切削油などが残っていると、その部分だけがアルマイト不良を
起こし、色違いの原因となります。