鋳肌にクロムメッキを施した際に青カビのような緑色が
発生する原因は、メッキ皮膜の欠陥を通じて下地（素地）
が腐食し、その腐食生成物（緑青）が表面に現れるため
です。

●緑色（緑青）が発生する主な原因

この現象は、主に鋳物特有の欠陥とメッキ皮膜の構造に
よって引き起こされます。

1. 鋳巣による腐食
鋳物は、内部に巣穴と呼ばれる微細な空洞や気泡を含んで
います。

・液の浸透・残留：
　メッキ工程や使用環境において、水分や腐食因子（塩分
　など）がメッキ皮膜のピンホールやクラックを通じて
　巣穴に浸透します。

・素地の腐食：
　巣穴に到達した水分が、下地となる銅合金や亜鉛合金を
　侵食します。

・緑青の生成：
　銅合金が腐食すると、緑青（ろくしょう）という緑色の
　腐食生成物（主に水酸化銅や塩基性炭酸銅など）が生じ
　ます。
　この緑青がメッキ層を押し破ったり、クラックから噴き
　出したりすることで、青カビのような緑色に見えます。

2. メッキ皮膜の欠陥
クロムメッキは、通常、下地にニッケルメッキを施した多層
構造です。

・クラック・ピンホールの存在：
　クロムメッキ皮膜には必ず微細なクラックがあり、ニッケル
　層にもピンホールが存在します。

・防食層の機能不全：
　下地のニッケルメッキの膜厚が不足していると、本来防食の
　主役であるニッケル層が十分なバリアとならず、容易に腐
　食因子が素地に到達してしまいます。

特に水回りなど、乾湿を繰り返す環境や塩分が多い環境で使用
すると、この腐食は非常に早く進行します。

クロムメッキのページはこちらから
お問合せのページはこちらから