FAQ
アルマイトをスチーム環境で使用した場合に腐食が発生
する原因は、主に高温による皮膜の劣化と封孔処理の
破壊です。
1. 高温による皮膜の劣化(熱膨張)
アルマイト皮膜は非常に硬く脆い性質を持っています。
一方、その下地となるアルミニウムは熱膨張率が比較的
高い金属です。
スチーム環境(通常100℃以上)にさらされると、下地の
アルミニウムが熱で膨張しますが、アルマイト皮膜はそれに
追従できず、微細なクラック(ひび割れ)が発生します。
このクラックが、腐食性物質が侵入する経路となり、腐食が
始まります。
2. 封孔処理の破壊
アルマイト加工の最終工程である「封孔処理」は、皮膜の微細
な孔を水和酸化物で塞ぐことで耐食性を高めます。
しかし、高温のスチーム環境では、この封孔された水和酸化物
が劣化・破壊され、孔が再び開いてしまうことがあります。
開いた孔から水蒸気や不純物(塩分など)が侵入すると、下地の
アルミニウムと反応し、水酸化アルミニウム(白サビ)が発生し、
腐食が進行します。
3. アルカリ性の影響
水道水や蒸気には、わずかながらアルカリ性を示す不純物が含ま
れていることがあります。
アルマイト皮膜は強酸と強アルカリに弱く、アルカリ性の環境に
長時間さらされると、皮膜自体が徐々に溶解してしまうことが
あります。
これらの要因が複合的に作用することで、スチーム環境下での
アルマイトは、通常の環境よりも腐食しやすくなります。