FAQ
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アルミダイカストにクロムメッキを施した際に剥離が
発生する原因は、主に素地(ダイカスト材)の特性と
前処理の特殊性に起因します。
●主な剥離原因
1. 巣穴と介在物の影響
アルミダイカストは、鋳造時にガスを巻き込みやすく、
内部に微細な巣穴が多量に存在します。
・液の残留と噴き出し:
前処理やメッキ液が巣穴に入り込み、洗浄しても完全に
除去されず、後工程や使用中にガス化・膨張してメッキ
皮膜を内側から押し上げ、膨れや剥離を引き起こします。
・Si(ケイ素)の影響:
アルミダイキャストに多く含まれるSiなどの不純物成分が、
メッキ皮膜との密着を阻害することもあります。
2. 前処理(ジンケート処理)の不徹底
アルミニウムの表面には強固な酸化膜が自然に形成されるため、
通常のメッキ前処理では密着性が得られません。
・ジンケート処理の失敗:
クロムメッキを行う前に、アルミニウム酸化膜を除去し、
その直後に亜鉛置換皮膜(ジンケート)を形成する工程が
必須です。
このジンケート皮膜が薄すぎたり、不均一だと、その後の
メッキ層との密着性が確保されず、剥離の根本原因となります。
3. 熱膨張係数の差
アルミニウムとクロムメッキ皮膜(および下地のニッケル)の間
には熱膨張係数に大きな差があります。
・熱サイクル:
製品の使用中に加熱・冷却の温度変化(熱サイクル)が生じる
と、この差によってメッキ層と素地の間に過大な熱応力が発生
し、特に密着性の弱い部分から剥離が進行します。