めっきQ&A

FAQ

A5052にアルマイトすると皮膜が剥離する原因は?

A5052は、アルマイト処理に適した合金の一つであり、通常は
安定した皮膜を形成します。
そのため、アルマイト皮膜が剥離する場合、その主な原因は
A5052という素材そのものよりも、アルマイト処理の工程に
不備があった可能性が高いです。

皮膜剥離の主な原因は、以下の3つの段階に分けて考えられます。

1. 前処理の不備
アルマイト処理の前の工程が不適切だと、皮膜の密着性が低下
しやすくなります。

・脱脂不足:
素材表面に油分や汚れが残っていると、その部分でアルマイト
皮膜がうまく生成されず、膜が浮いて剥離する原因となります。

・エッチング不足:
アルマイト処理の前に、表面の自然酸化膜や微細な不純物を
除去するエッチング処理が不十分だと、皮膜と母材がしっかり
密着しません。

・スマット残り:
エッチング処理後に残留する不純物(スマット)が十分に除去
されていない場合も、皮膜の密着不良につながります。

2. アルマイト本処理の不備
アルマイト処理中に何らかのトラブルが発生した場合も、剥離
の原因となります。

・電解の中断:
治具の接触不良などでアルマイト処理中に通電が中断されると、
その部分の皮膜が不均一になり、剥離しやすくなります。

・不適切な処理条件:
電解液の濃度や温度、電流密度が素材の特性に合っていない場合、
皮膜の品質が低下し、剥離の原因となることがあります。

3. その他の原因
上記以外にも、物理的な要因や使用環境が原因となることがあります。

・熱応力:
アルミニウムの熱膨張率とアルマイト皮膜の熱膨張率には大きな差
があります。
100℃を超えるような環境下で使用すると、熱膨張による応力で皮膜
に微細なひび割れ(クラック)が入り、剥離につながることがあります。

・物理的な衝撃・摩耗:
アルマイト皮膜は硬いものの脆い性質を持つため、強い衝撃や摩擦
が加わると、皮膜が欠けたり剥がれたりします。

アルマイト加工(処理)のページはこちらから
お問合せのページはこちらから

キーワードで検索
複数キーワードをスペースを入れて検索してください。
(例)「硬質クロム 固い」「テフロン 400℃」 など

一覧に戻る