FAQ
ADC12にアルマイト処理を施した際に黒色の穴のよう
腐食が発生する主な原因は、ADC12に多く含まれる
ケイ素(Si)と鋳造品の特性にあります。
1. ケイ素(Si)の影響
ADC12は、流動性を高めるために10%前後の高濃度の
ケイ素を含んでいます。
・皮膜形成の阻害:
アルマイト皮膜はアルミニウムから作られますが、ケイ素は
電気を通さないため、皮膜が均一に形成されるのを妨げます。
・ケイ素の偏析:
鋳造品では、このケイ素が結晶として不均一に偏って存在
しやすいため、アルマイト処理の際に、ケイ素が多い部分は
皮膜ができにくく、アルミニウムが多い部分は皮膜が生成さ
れます。
・黒い斑点:
皮膜が生成されなかったケイ素の多い部分が、アルマイト処理後に
黒い点や穴のように見え、腐食しているように見えることがあります。
2. 鋳造欠陥の影響
ADC12などの鋳造品には、微細な巣穴(気泡)が存在する場合が
あります。
・処理液の残留:
アルマイト処理液がこの巣穴に浸入し、洗浄や封孔処理で完全に
除去されずに残留してしまうことがあります。
・腐食の発生:
残留した処理液や、その後に付着した水分が、巣穴の奥のアルミニ
ウムと反応し、腐食(白サビ)を発生させます。
この腐食が黒い穴のように見えることがあります。
これらの問題は、ADC12の材質特性に起因するもので、他の展伸材
(A5052など)に比べてアルマイト処理の難易度が非常に高いです。
この問題を解決するには、ADC12のアルマイト処理実績が豊富な
業者に依頼し、素材の特性に合わせた特殊な前処理(デスマット
処理など)や処理条件の調整を行うことが不可欠です。