FAQ
これはアルマイト処理の特性上、ネジ穴部分にアルマイト皮膜が
十分に形成されていないか、または皮膜が損傷していることが
主な原因として考えられます。
以下に、考えられる具体的な原因を詳しく解説します。
1. ネジ穴内部にアルマイト皮膜が生成されない、または不十分
アルマイト処理は電気化学的な処理であり、電流が流れることに
よって皮膜が生成されます。
しかし、ネジ穴のような複雑な形状、特に奥まった部分では、以下
のような理由で皮膜の生成が阻害されることがあります。
・液の滞留と気泡の発生:
アルマイト処理では、水素ガスが発生します。
ネジ穴の奥にこのガスが溜まってしまうと、アルマイト液が
アルミニウム表面に十分に接触できず、皮膜が形成されません。
処理液の攪拌が不十分だと、ネジ穴内部の液が新鮮な液と入れ替わ
らず、皮膜生成がうまくいかないことがあります。
・電解の不均一性:
電気は抵抗の少ない部分を流れやすいため、ネジ穴の奥や止まり穴の
底のような部分は、表面に比べて電流密度が低くなります。
その結果、皮膜が薄くなったり、まったく形成されなかったりする
場合があります。
・前処理の不備:
切削加工時に使用した油分がネジ穴の奥に残ったままアルマイト処理を
行うと、油分が残った部分に皮膜が生成されません。
脱脂不足が原因で、このような現象が起こることがあります。
2. 封孔処理の不備
アルマイト皮膜には、ミクロンサイズの非常に小さな孔(ポア)が
空いています。
この孔を塞ぐ封孔処理を行うことで、耐食性が大幅に向上します。
ネジ穴の奥まで封孔処理液が十分に行き渡らなかった場合、孔が塞がれて
いない部分が残ります。
この部分から塩水が浸透し、下地のアルミニウムを腐食させてしまうこと
があります。