FAQ
アルマイトの耐熱性と、加熱によるひび割れ(クラック)の
関係は、アルミニウム母材とアルマイト皮膜の熱膨張率の違
いに起因します。
アルマイト皮膜自体は酸化アルミニウムというセラミックス
に近い物質でできており、その融点は2000∘C以上と非常に高
い耐熱性を持っています。
しかし、製品としてのアルマイトの耐熱性は、この皮膜の融点
ではなく、皮膜と母材の熱膨張率の差によって制限されます。
●熱によるひび割れ(クラック)のメカニズム
1.熱膨張率の大きな差
・アルミニウム母材:
熱膨張率が非常に高い(約 23×10−6 /℃)
・アルマイト皮膜:
熱膨張率がアルミニウムの約1/3〜1/5と非常に低い(約 7×10−6 /℃)
2.加熱時の応力発生:
100℃を超えるような温度に加熱されると、アルミニウム母材は
大きく膨張しようとします。
一方、アルマイト皮膜は熱膨張率が低いため、母材の膨張に追従
できず、皮膜に引っ張られるような強い応力が発生します。
3.クラックの発生
この応力が皮膜の強度を上回ると、皮膜は耐えきれずに微細な
ひび割れ(クラック)が発生します。
このクラックは肉眼では見えにくいことが多いですが、皮膜の
連続性を断ち切るため、耐熱性以外の性能にも悪影響を及ぼし
ます。