FAQ
A5056に硬質アルマイト処理を施した際に、指示通りの
膜厚がつかない原因として、以下の可能性が考えられます。
1. 素材の特性
A5056は、マグネシウムを主成分とする合金です。
マグネシウムは硬質アルマイトの皮膜生成に適していると
されていますが、その含有量や不純物の影響で、皮膜の成長
速度にばらつきが生じることがあります。
鍛造や圧延によって製造された素材は、内部組織が完全に均一
でない場合があります。
組織の不均一性が皮膜の成長に影響を及ぼし、膜厚のムラを
引き起こすことがあります。
2. アルマイト処理のプロセス管理
処理液(硫酸)にアルミニウムの溶存量が過剰になると、皮膜の
成長が阻害され、指定された膜厚に達しないことがあります。
これは、処理液の管理が不十分な場合に起こり得ます。
製品の形状が複雑であったり、電極の配置が適切でなかったりすると、
製品全体に均一な電流が流れず、部分的に膜厚が薄くなることがあり
ます。
硬質アルマイトは、電解液の温度を厳密に管理(0℃〜-5℃)する必要
があります。
温度が上昇すると、皮膜の成長速度が低下し、膜厚が不足する可能性が
あります。
処理中に製品を固定する治具と、製品との接触が不完全だった場合、
電流がうまく流れず、膜厚が不十分になることがあります。
3. 製品の状態
アルマイト処理の前の脱脂やエッチングが不十分だと、表面に油分や
酸化膜が残り、皮膜の均一な生成を阻害する原因となります。