メッキの表示記号
電気めっきの記号による表示方法 JIS H 0404
下記の表示方法は、全てめっき厚になります。
めっきの記号による表示方法
めっきの記号による表示方法は、規定する記号を用い、【A】に示す順序による。ただし。当分の間、【B】に示す順序によってもよい。
なお、特に表示の必要がない記号は省略してもよい。
【A】

例1
- Ep-Fe/Cu20,Ni25b,Cr0.1r/:A
- 電気めっき,鉄鋼素地上,銅めっき20µm以上,光沢ニッケルめっき25µm以上,普通クロムめっき0.1µm以上 腐食性の強い屋外での使用
例2
- Ep-Fe/Zn15/CM2:B
- 電気めっき,鉄鋼素地上,電気亜鉛めっき15µm以上処理,有色クロメート処理 通常の屋外での使用
例3
- Ep-Cu/Ni5b,Cr0.1r/D
- 電気めっき,銅合金素地上,電気光沢ニッケルめっき5µm以上,普通クロムめっき0.1µm以上 通常の屋内での使用
例4
- Ep-Fe/Elp-Ni15,Icr20/
- 最終めっきが電気めっき、鉄鋼素地、無電解ニッケルめっき15µm以上,工業用クロムめっき(硬質クロムめっき)20µm以上処理
例5
- Ep-Al/Cu10,Ni10,Cr0,1r/:D
- 電気めっき,アルミニウム合金素地上に銅めっき10µm以上,光沢ニッケル10µm以上,普通クロムめっき0.1µm以上通常の屋内での使用
例6
- EP-Fe/Zn〔2〕/CM2:2
- 電気めっき,鉄鋼素地上,電気亜鉛めっき2級を処理し有色クロメート処理 湿度の高い屋内での使用
例7
- Ep-Cu/Cr〔3〕/B
- 電気めっき,銅合金素地上,電気ニッケル・クロム系めっき3級を処理 通常の屋外での使用
例8
- Elp-Fe/Ni(90)-P20
- 鉄素地上に無電解ニッケルめっき(ニッケル90%、リン20%)を処理
例9
- Elp-Fe/Ni90-P〔5〕
- 鉄素地上に無電解ニッケルめっき(ニッケル90%〕5級を処理
【B】

例1
- EP-Fe/Zn〔2〕/CM2:2
- 電気めっき,鉄鋼素地上,電気亜鉛めっき2級を処理し有色クロメート処理 湿度の高い屋内での使用
例2
- Ep-Cu/Cr〔3〕/B
- 電気めっき,銅合金素地上,電気ニッケル・クロム系めっき3級を処理 通常の屋外での使用
注意事項
- 電気めっき又は無電解めっきを表す記号。ただし、電気めっきと無電解めっきによってめっき層が構成されている場合には、最終めっきを表す記号。
- ハイフン
- 斜線
- 多層めっきの場合には、素地に近いめっきの構成の順に左から右へコンマを付けて順に表示する。
電気めっきと無電解めっきとによって構成されている場合で(2)の記号と異なるめっきでは、めっきの記号の前にそれを表す記号をハイフンを付けて表示する。
- コロン
めっきを表す記号
電気めっきを表す記号は、Ep又はSPLEとする。ただし、無電解めっきを表す記号は、ELp又はSPLELとする。
素地の種類を表す記号
電気めっきを表す記号は、Ep又はSPLEとする。ただし、無電解めっきを表す記号は、ELp又はSPLELとする。
鉄、鋼及びそれらの合金 |
Fe |
銅及びその合金 |
Cu |
亜鉛及びその合金 |
Zn |
アルミニウム及びその合金 |
Al |
マグネシウム及びその合金 |
Mg |
プラスチック |
PL |
セラミック |
CE |
めっきの種類を表す記号
めっきの種類を表す記号は、その元素記号による。合金めっきの場合には、合金を構成している主な元素の元素記号をハイフンで結ぶ。なお、特に主要な合金元素の組成を示す場合には、その質量パーセントの数値を、元素記号の次に( )を付けて示すことが出来る。
例1
- Cu10,Ni10s,Cr0.1r
- 銅めっき10µm以上,半光沢ニッケルめっき10µm以上,普通クロムめっき0.1µm以上
例2
- Zn-Ni10
- 亜鉛-ニッケル合金めっき10µm以上
例3
- Au(75)-Cu5
- 金75%-銅合金(18K)めっき5µm以上
例4
- Cu10,Ni5b,Sn-Co0.1
- 銅10µm以上,光沢ニッケルめっき5µm以上,すず-コバルト合金めっき0.1µm以上
例5
- Icr50
- 工業用クロムめっき(硬質クロムめっき)50µm以上
めっき厚さを表す記号
めっき厚さは、有効面での最小厚さをµm単位で示した数字とする。
例
- Cu10,Ni15d,Cr0.1mp
- 銅めっき10µm以上,二層ニッケルめっき15µm以上,マイクロポーラスクロムめっき0.1µm以上
めっき厚さによる等級を表す記号
めっきの規格で、めっき厚さによる等級を分けて行っている場合には、等級分けによってめっき記号及び厚さを示す。
等級 |
記号 |
Ni又はCu+Niの厚さ µm |
1級 |
Ep-Fe/Ni〔1〕/ |
3以上 |
2級 |
Ep-Fe/Ni〔2〕/ |
5以上 |
3級 |
Ep-Fe/Ni〔3〕/ |
10以上 |
めっきのタイプを表す記号
めっきのタイプ及びその他の記号は以下の表のとおりとする。
めっきのタイプ |
記号 |
参考(めっきの等級) |
光沢めっき |
b |
銅めっき,ニッケルめっき,クロムめっき,金めっき,銀めっき,合金めっきなど |
半光沢めっき |
s |
ビロード状めっき |
v |
非平滑めっき |
n |
無光沢めっき |
m |
複合めっき |
cp |
黒色めっき |
bk |
二層めっき |
d |
ニッケルめっきなど |
三層めっき |
t |
普通めっき |
r |
クロムめっき |
マイクロポーラスめっき |
mp |
マイクロクラックめっき |
mc |
クラックフリーめっき |
cf |
例
- Cu10b,Ni20t,Cr05mc
- 光沢銅めっき10µm以上,三層ニッケルめっき20µm以上,マイクロクラッククロムめっき0.5µm以上
後処理を表す記号
後処理を表す記号は、下記の表のとおりとする。
後処理 |
記号 |
水素除去のベーキング |
HB |
拡散熱処理 |
DH |
光沢クロメート処理 |
CM1 |
有色クロメート処理 |
CM2 |
塗装 |
FA |
着色 |
CL |
変色防処理 |
AT |
使用環境を表す記号
装飾、防食などの目的でめっき製品を使用する場合、その使用環境を下記の表のとおりに区分し、記号で示す。
使用環境 |
使用環境条件 |
記号 |
例 |
A |
腐食性の高い屋外環境 |
A |
海浜、工業地域など |
B |
通常の屋外環境 |
B |
田園、住宅地域など |
C |
湿度の高い屋内環境 |
C |
浴室、厨房など |
D |
通常の屋内環境 |
D |
住宅、事務所など |
JISハンドブック金属表面処理2022抜粋